2009年10月28日
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下北沢を騒がす補助54号線の問題も他人事ではなかった。これは松原を通るあの道路だ!!

Written By: 川俣 晶連絡先

 下北沢の騒動が他人事ではなくなってきたので、少し調べてあることに気づきました。

 うかつなことに、下北沢といえば小田急地下化の問題ばかり注意を向けていて、補助54号線の問題がきちんと目に入っていませんでした。そして、補助54号線とは世田谷線の松原駅の南側を通る「あの道路」だということも、見落としていました。なんとうかつ。

 というわけで、下北沢の問題は他人事ではあるが、補助54号線の問題は他人事ではないと位置づけし直しました。補助54号線は昨日も横断した極めて身近な道路です。

前置き §

 小学校の学芸会の「裸の王様」でペテン師Bを演じて以来、私の興味の一部は「存在しないものを説得するトリック」と「存在しないもの信じてしまう心理」にあります。

 以下はそのような意味での「トリック」について書かれたものであり、下北沢という街に補助54号線が必要か、現在の計画が本当に妥当かについては何も意見を述べません。それは、私には分からないことです。ここで書くことは、ネット上で見た若干の文章に対する簡単な感想でしかありません。感想なので、内容が正しいという保証もありません。

環七なみの大型道路 §

 「補助54号線」を形容する表現として環七なみの大型道路……といった表現をしばしば見かけますが、土地を占有する幅が広いというだけで、車線数はずっと少なく、おそらく見た目の印象は環七とは全く違って見えるはずです。そのことは、反対サイトでも詳しく明記していますが、まず「環七なみの大型道路」という表現で不安感を煽っているケースは、一種の表現トリックといえます。

800m離れた井の頭通り §

 800m離れた場所に立派な井の頭通りがあるので、下北沢に平行した道路を作る必要性はない、といった表現も印象を操作する表現トリック的な印象を持ちました。このような表現は先入観を与え、以下のような状況に思い至る発想を阻害する可能性があります。

  • 井の頭通りと補助54号線は本来至近距離を平行する道路ではない (比較的接近するのは終点に近い代田橋以東に過ぎない)
  • 幹線道路ならともかく、「補助」道路であれば800mという距離は十分に道路を建設するに値する (補助道路の都市計画で800m程度しか距離が離れていない道路は珍しくもないし、それらにニーズが無いわけではない)

 ちなみに、「環七なみの大型道路」という表現も2つめの状況を誤認させる効能があると考えられます。「環七なみの大型道路」という先入観で見れば、800m先に立派な道路があれば建設不要という印象に誘導される可能性があります。

下北沢には要らない §

 道路は複数の地域を貫通して存在するものです。従って、特定の1地域だけの問題として語ることはできません。これは常識としての大前提です。しかし、補助54号線に関しては「下北沢は」という語りばかりが目に付きます。補助54号線の開通で得られる他地域のメリットについては、軽く見た範囲ではほとんど触れられていませんでした。

下北沢は素晴らしい街 §

 現在の下北沢は素晴らしい街である、というアピールがくりかえし強調されていますが、当然あのような街が好きな人もいるだろうし、嫌いな人もいると思います。

 たとえば、今の下北沢は狭苦しく雑然として見通しが悪く排他的なので、立派な道路を通して風通しを良くして欲しい、といった意見を持つ人もおそらくいるだろうと思います。しかし、現状ではそのような意見は賞賛の大合唱でかき消しているようにも見えます。これも一種のトリックです。

感想 §

 文化人や専門家の多くも反対している……という話もありますが、実は「文化人や専門家」という人種はこの手のトリックに引っかかりやすい人種であるとも言えます。そのあたりの詳しい話は煩雑になるので割愛しますが。

 そういう側面も踏まえて言えば、補助54号線問題は「下北沢愛好家の自発的な活動」ではなく「トリックによって仕掛けられた運動」という可能性も考えられます。

 しかし、いずれも可能性の話であり、実際はどうなのか分かりません。

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